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このたび、十愛療育会の後援会の会長をお引き受けすることになりました。後援会の実際の活動に、直接関わることはむずかしいと思いながらも、この役をやらせていただくことにしたのには、わけがあります。
十愛療育会のやっている仕事が、世の中にとって、とても大事なことであり、ぜひこの法人には、活躍をしてもらいたいと思ったからです。これまでの実績もあり、また、日浦さんが理事長をお務めになっているのですから、しっかりと期待に応えてくれるという確信がありますし、なにより、変なことは絶対やらないという信頼があります。
十愛療育会が、基本理念として掲げている三項目、いずれも、そのとおり、私も大きくうなずいています。「一人ひとりを大切に」。一人ひとりの何を大切にするかといえば、いのちを、生活を、人生をです。実は、この3つのことは、英語では、LIFEの一言です。特に、生活を大切にすることが大事です。障害者であっても、自分として、こんな生活をしたいという目標があります。職員側には、声なき声に耳を澄まして、聞き取る姿勢が必要とされるでしょう。
「全てにおいて、可能性を信じる」。可能性とはいい言葉ですね。昨日できなかったことが、今日できるようになる。今日できなかったことを、明日できるようにするために、本人も職員も努力する。可能性は、重い障害を持った人たちにも、当然あります。その可能性を実現する過程が、人生というものではないでしょうか。誰にとっても。
「家族の絆を大切にする」。絆は大切ですが、家族、障害者本人、お互いを縛るものであってはなりません。母親は子どものケアをするために、生活のすべてを犠牲にすることはできません。障害者本人も、母親にいつも心配をかける存在では、気詰まりでしょう。お互いに、余裕をもって関係し合う。家族の絆は、そういった余裕がある中で、さらに強くなります。その余裕を作るのは、職員の仕事です。
「後援会長を引き受ける弁」ということで、簡単なごあいさつで済ますべきところ、ついつい、持論を展開するようなことになってしまいました。こんな私ですから、それだけ十愛療育会の活動に期待するところ大だということを、お汲み取りいただければ幸いです。
平成23年9月
(慶応義塾大学教授) |